2015/7/30
Jimmy Burns東京公演レポート ブルース

15年ぶりに来日したジミー・バーンズ。初来日のときにはほっそりとした印象だったけど、7月22日、荻窪のルースターノースサイドに姿を見せた彼は、小太りな好々爺といった雰囲気。日本酒の小瓶を片手にちまちまと笑顔でステージに上がるその姿がなんだか可愛らしかった。そう、彼は日本酒が大のお気に入りなんだそうです。
決して知名度が高い訳ではないジミー。平日の単独公演でチャージも4,000円という決して安くはない設定なので客の入りが心配でしたが、当日ルースターのウェブページをチェックしたら[SOLD OUT]となっていました。すげー!会場が小さいとは言え、居場所がないほどの満杯ぶりでした。

この後出演する青森のブルース・フェスではフル・バンドでやることになっていましたが、東京公演はリズム・セクション抜きのシンプルなトリオ・スタイル。ジミーをサポートするのは、ギターが菊田俊介、ピアノがLeeの2人です。彼らは非常に安定したサポート振りだったので、全く問題なし。シンプルな分、かえって各パートがクリアに聞こえていい具合でした。
歳を取ったからなのか、終始椅子に座ってのパフォーマンスでしたが、魅力は衰えていませんでした。"Rock Me Baby"というゴリゴリなブルースからスタートしたこの日のライヴでしたが、続く"Miss Annie Lou"ではポップな雰囲気も。そしてオーティス・レディングのバラード"For Your Precious Love"でじっくりサザン・ソウルのフィーリングたっぷりな歌声を聴かせてくれたのです。彼の特徴は、シル・ジョンソンなんかがそうであるように、ブルースとソウルを分け隔てなく繰り出す音楽性にありますが、それはこの日も健在でした。ジミーの声は歳月とともにハスキーさが増して来たようでしたが、まだまだ高音もよく伸びるソウルフルな美声。ギターも決して技巧的な感じではないんですが、リード・ギターも実に味があるし、リズムもファンキーでうまいんです。
随所随所でサポートの2人に"somebody play the blues!"などと言ってソロを回すジミー。彼らのプレイを聴きながら満足げです。この日のライブが二部構成であることを理解していなかったのか、一部開始後1時間をすぎて尚「次の曲は...」とどんどん行く気満々。菊田氏に制止され休憩時間に入りました。
二部では、"Stand By Me"で客席が大合唱となり、なんだかほっこりした気分に。そして、「ここでジミーがソロで演奏するとのことです」と菊田氏が告げ、やったのはゴスペルっぽい雰囲気ぷんぷんの"I'll Drown In My Own Tears"。これは沁みましたね。続く"Cold As Ice"もソロ。いやぁ、終盤になってこんな渋い見せどころが用意されているとは、さすが!
最後は2人が戻り、冒頭にやったのとは曲調を変えた正統派B.B.調な感じの"Rock Me Baby"で締めました。ここまでで演奏の実時間は2時間をゆうに超えており、「もう僕これ以上やったら、声がつぶれちゃうよ」とアンコールはなしで終了。でも充分満足できる内容でしたよ。演奏はここまででしたが、終演後サインに写真にきさくに応じていたジミー。この翌日にはJapan Blues Festivalのため青森に向けて旅立ったのでした。
今回僕は、彼の青森での公演も見てきましたが、それはまた別途レポートします。


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Jimmy Burns
Rooster Northside
Wed., July 22, 2015
Setlist
1st set [20:30-21:35]
Rock Me Baby
Miss Annie Lou
For Your Precious Love (Otis Redding)
Every Day I Have the Blues
The Sky Is Crying (Elmore James)
Feel So Bad (Chuck Willis)
2nd set [22:05-23:15]
Whole Lotta Lovin'
No Consideration
Shake for Me
Stand By Me
I'll Drown in My Own Tears (solo)
Cold As Ice (solo)
Rock Me Baby
[Personnel]
Jimmy Burns - guitar, vocals
Shun Kikuta - guitar
Rie "Lee" Kanehira - piano

(c)All photos by Masahiro Sumori. All rights reserved.
