2014/9/28

マーシャ・ボールの新譜  ブルース

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まいった。最高すぎて聴くのをやめられません。3年ぶりのマーシャ・ボールの新作。2001年に「Presumed Innocent」をリリースして以来、アリゲーターからのスタジオ盤もこれで5枚目。その前のラウンダー時代と並びました。僕は、この新譜がアリゲーター移籍後の最高傑作だと断言します。本当に彼女の魅力が余すところなく伝わるいい作品です。

マーシャの作品は駄作は1枚もないものの、アリゲーター移籍後は、どうもラウンダー時代の作品と比べて物足りなさを感じていたのも率直なところでした。最初の2枚は、音の仕上がりはファンキーでビシッと決まっていてよかったのですが、マーシャの持ち味のブギウギ・ピアノや、ルイジアナ風味が弱いように思いました。ライヴ盤を挟んでの続く2枚は、その点だいぶ自然体な雰囲気になっていたのですが、がつんと来ると言う意味では最初の2枚には及ばない部分も。今回の作品は、両方を満たす強力な内容だと思うのです。

プロデュースは、バディ・ガイやスーザン・テデスキを手がけたことで知られるトム・ハンブリッジが担当しています。

冒頭のタイトル曲から、マーシャのピアノも快調に転がり、のりのりです。続く"Clean My House"はホーン・セクションがファンキーで最高にカッコいい。アルバム全体的にバンドのアレンジとホーン・セクションのパンチがきいています。

収録曲唯一のカバーは、ハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズの"She's The One"ですが、これは、アール・キングやギター・スリムを彷彿させるニューオーリンズR&B調に仕上がっていて、ここでもホーン・セクションがいい味を出しています。もうひとつ特にルイジアナ色を感じさせるのは、ケイジャン・ナンバー"The Squeeze Is On"です。アコーディオンにはテレンス・シミエンが参加して盛り上げています。

マーシャのピアノが気持ちいいシャッフル"Can't Blame Nobody But Myself"では、ハーモニカにデルバート・マクリントンがゲスト参加。ストレートなブルースでもマーシャは本領を発揮しています。バラード"Human Kindness"はじわっと心にしみ入りました。「皆同じ人間なんだから、人々を分断する壁を築くのはやめよう」という普遍的なメッセージは、ヘイト・スピーチで街を汚染する輩にも聴いてもらいたいです。

バンドも非常にいいですね。特にギターのマイク・シャーマー(マリア・マルダーやハワード・テイトと来日したこともあり)のブルース・フィーリングたっぷりなプレイにはしびれます。

実は、最近のマーシャの演奏をネットで聴いていると、声の調子が悪そうなので心配していました。作品はうまく仕上がってはいますが、確かにここでも、以前と比べて声が出にくそうに聞こえる部分があります。ノッポなお姉さんのマーシャも、もう65歳ですからね。幸いお元気そうだし、健康に気をつけてこれからも頑張ってほしいですね。一度は来日もしてほしいなぁ。

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MARCIA BALL / THE TATTOED LADY AND THE ALLIGATOR MAN
(Alligator ALCD 4964)

1. The Tattooed Lady And The Alligator Man
2. Clean My House
3. Just Keep Holding On
4. Like There's No Tomorrow
5. He's The One
6. The Squeeze Is On
7. Hot Springs
8. Human Kindness
9. Can't Blame Nobody But Myself
10. Lazy Blues
11. Get You A Woman
12. The Last To Know

[The Band]
Marcia Ball - piano, vocals
Don Bennett - bass
Damien Llanes - drums
Michael Schermer - guitar
Thad Scott - tenor saxophone

Produced by Tom Hambridge

マーシャ・ボール公式サイト
http://www.marciaball.com/

Alligator Records
http://www.alligator.com/albums/The-Tattooed-Lady-And-The-Alligator-Man/
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2014/9/24

スライド・ギターのMOOK発刊  音楽全般

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スライド・ギターをテーマにした本(MOOK)が出ました。200ページ近いボリュームで、ロックを中心にブルース、ブルーグラス/カントリー、アコースティック、セイクリッド・スティールからハワイアンに至るまで、幅広い音楽ジャンルを網羅。デュエイン・オールマンやライ・クーダーといった、スライド奏法の代表的な人達はもちろん、ケブ・モー、ディッキー・ベッツなどあまりスライドという印象がないような人も登場します。

ディスクガイド、人物紹介、インタビュー記事、コラムなどで構成され、カラー写真も満載です。

ブルースは「戦前ブルーズ」、「戦後ブルーズ」、「ディープ・ブルーズの継承者たち」(ファット・ポッサム系)、「現代のブルーズ」と4カテゴリーにわたって紹介。ブライド・ウィリー・ジョンソン、ロバート・ジョンソン、エルモア・ジェイムズ、マディ・ウォーターズ、コーリー・ハリス、リル・エドなどのプレイヤーが取り上げられました。

記事では、特に面白かったのは、1973年のニッティ・グリッティ・ダート・バンド来日時のジェフ・ハンナへのインタビュー記事で、その2年ほど前に亡くなった親友デュエイン・オールマンについて、その素顔を語っているものです。デュエインについては非常に多くの情報が出回ってはいるものの、彼をよく知る人の証言は新鮮でした。当時「ぷらすわん」に掲載されたものの再掲載です。

また、7月に急逝したジョニー・ウィンターは追悼特集。本人ではなく、バンドのギタリストとして彼を支えたポール・ネルソンのインタビューを収録。急逝後の貴重な内容で、彼が亡くなったときの状況についても語られています。

久々の来日を控えたジェリー・ダグラスの最新インタビューは読めば、ますます公演が楽しみになること間違いなし。

ギター好きならば眺めているだけで楽しい一冊。ひとつのギター奏法から、音楽の世界観が広がって行くことを感じさせる内容。お勧めです。

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「CROSSBEAT Presents スライド・ギター」
発行元:シンコーミュージック・エンタテイメント
発行日:2014年9月
監修:五十嵐 正
ページ数:196ページ
定価:1,800円+税(1,944円)
ISBN:978-4-401-64051-5

【CONTENTS】
Photo Gallery

Johnny Winter
相棒ポール・ネルソンが語る晩年のジョニーと遺作

The Allman Brothers Band
遂にボックス化された1971年フィルモア・イースト公演の全貌

Jerry Douglas
“世界一のドブロ奏者”が来日決定!! 独占インタビュー

History
スライド・ギターの原点とその広がりを検証

Introduction
Part 1:戦前ブルーズ
Part 2:戦後ブルーズ
Part 3:ディープ・ブルーズの継承者たち
Part 4:現代のブルーズ
Part 5:ロック
発掘記事:親友ジェフ・ハンナが回想するデュアン・オールマンの素顔
発掘記事:ロリー・ギャラガーが語る音楽的ルーツとスライド・ギター
Part 6:アコースティック
Part 7:80年代〜現在
発掘記事:デレク・トラックスが語るスライド・ギターとの歩み
Part 8:ブルーグラス/カントリー
Part 9:セイクレッド・スティール

ハワイアン・ミュージック名盤10選
ワールド・ミュージック名盤10選
日本のスライド・ギター名盤10選
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2014/9/22

アラン・トゥーサンとサンスー関連リリース  ニューオーリンズ

プロフェッサー・ロングへアの「サンスー音源」について書きましたが、実はフュエル2000レーベル(及び関連レーベルのヴァレーズ・サラバンド)では、他にもサンスーやアラン・トゥーサン関連の注目リリースがあります。公式サイトにちゃんとした情報がないので、ここで紹介したいと思います。

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Eldridge Holmes / Now That I've Lost You: Allen Toussaint Sessions
レーベル:Varese Sarabande
発売日:2014年8月12日
http://www.allmusic.com/album/now-that-ive-lost-you-the-allen-toussaint-sessions-mw0002697758/
ルイジアナ出身のサザン・ソウル・シンガーです。コンピレーション盤への収録はありますが、単体でのCDは2006年に出たAIM盤「Deep Southern Soul」くらいではないでしょうか?彼は1960年代から70年代にかけてアラン・トゥーサンのプロデュースの下、サンスーを始め、ジェットセット、アロン、アトコなどのレーベルでシングルを発表しています。そこから20曲収録。AIM盤と大半は曲目が被りますが、こちらの方が1曲多いです。AIM盤は既に廃盤だと思いますので、嬉しいリリースです。


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Etta James / It Takes Love to Keep a Woman: The Allen Toussaint Sessions
レーベル:Fuel 2000
発売日:2014年8月12日
http://www.allmusic.com/album/it-takes-love-to-keep-a-woman-the-allen-toussaint-sessions-mw0002697757
エタ・ジェイムズが1980年にキャピトルからリリースしたアルバム「Changes」のストレートな再発で、今回初のCD化となります。アラン・トゥーサンのプロデュースで、ニューオーリンズのシーセイント・スタジオなどでレコーディングされています。バンドもトゥーサン本人を始め、ハーマン・アーネスト(ds.)、レオ・ノセンテリ(gt.)サム・ヘンリー(key.)らニューオーリンズのミュージシャンが参加。トゥーサンの曲も4曲取り上げています。エタの個性とニューオーリンズ・サウンドのマッチングがなかなかよい作品です。


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Funky New Orleans Nola Soul Explosion
レーベル:Fuel 2000
発売日:2014年8月25日
http://www.allmusic.com/album/funky-new-orleans-nola-soul-explosion-mw0002702300
1960年代から70年代にかけてのニューオーリンズのファンキー・ナンバーを収録したコンピレーション。サンスーとその関連レーベルディースー、カンスー、エイミーなどの音源が中心です。


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Deesu Records Story: New Orleans LA
レーベル:Fuel 2000
発売日:2014年8月12日
http://www.allmusic.com/album/deesu-records-story-new-orleans-la-mw0002693059
アラン・トゥーサンとマーシャル・シホーンの2人はサンスー・レーベルだけでなく、いくつかのレコード・レーベルを立ち上げています。ディースーは、そのひとつです。ゾディアックスやウィルバート・ハリソンらニューオーリンズ以外の人も入っていますが、2枚組でどーんと36曲です。


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Aaron Neville / For the Good Times -The Allen Toussaint Sessions-
レーベル:Varese Sarabande
発売日:2014年5月19日
http://www.allmusic.com/album/for-the-good-times-the-allen-toussaint-sessions-mw0002649965
1960年代末からネヴィル・ブラザーズ結成までの77年頃にかけてのマーキュリー、ベル、アイランドなどのレーベルの音源を収録したものです。フュエル2000では似たジャケットで兄アートとカップリングとなった「Brother to Brother」というコンピレーションも出ていますが、そちらは60年代前半のミニット音源が中心なので、ダブりはない模様。
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2014/9/20

プロフェッサー・ロングヘア、サンスー・セッションズの謎  ニューオーリンズ

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先月、米Fuel 2000より、プロフェッサー・ロングヘアの新しいCDが出ました。タイトルは「Let's Go To New Orleans」。実はそのタイトルよりも、副題の"The Sansu Sessions"に目を奪われたのでした。さ、さんすうぅ?算数ではありません。サンスー。アラン・トゥーサンとマーシャル・シホーンが興したニューオーリンズのレコード・レーベルです。

フェスがサンスーにレコーディングを残していたなんて、聞いたことがありません。これが事実ならば大発見。どんな内容なのか、ネット情報で調べましたが、どうもよくわからない。サンスーがレコードを出していたのは1965年のベティ・ハリスを皮切りに、1982年頃まで。フェスは1971年くらいまでは引退状態、1980年に亡くなっていますから、未発表音源があるとすれば、1970年代と言うことになります。

曲目はよく知られたフェスのレパートリーが中心。特に「未発表」と謳われている訳でもなし。うーむ、ウェブで見ていても謎が深まるばかり。ならば買って確かめてみるしかねーだろ、と発注。日本一のフェス・ファン、関西のぐらちゃんも同様に即買いに走ったようです(笑)。

で、結論。これは全曲ライヴ録音です。サンスー・レーベルのセッションではありません。しかも、ひとつのライヴではなく、明らかに寄せ集め。期待したライナーには、フェスのバイオが詳しく書かれているものの、このCDや音源については一切言及なし。レコーディングに関するデータも記載はありません。

これがなんの音源なのか?確認するのもめんどいなーと思っていたら、ぐらちゃんが何と早速チェックしてくれました。そこに便乗して情報を追加しながら、まとめたいと思います。(Special thanks to Gura-chan)

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収録曲は全20曲:
1. Tipitina
2. Big Chief
3. Goin' To The Mardi Gras
4. Doin' It
5. Gone So Long
6. Her Mind Is Gone
7. Tell Me Pretty Baby
8. Woke Up This Morning (My Baby She Was Gone)
9. Lovely Lady
10. Is Everything All Right
11. Every Day I Have The Blues
12. Bald Head
13. How Long Has That Train Been Gone
14. Stagger Lee
15. Messin' Around
16. I'm Movin' On
17. Jambalaya
18. Hey Little Girl
19. Cry To Me
20. Mardi Gras In New Orleans

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1、20: アルバム「New Orleans Jazz & Heritage Festival 1976」より
 Fair Grounds Race Course, New Orleans, Apr. 11, 1976
 バンド不明
2、3、9、11、12、18: アルバム「The London Concert」より
 New London Theatre, London, England, Mar. 28, 1978
 Professor Longhair (p, vo), Alfred "Uganda" Roberts (congas)
7、14、16、19: アルバム「Live On The Queen Mary」より
 Queen Mary, Long Beach, CA, Mar. 24, 1975
 バンド不明(同じライヴに出演していたミーターズの可能性あり)
4、5、6、13、15: 没後「The Big Easy」、「Live 1977」などのCDで発表されて
いたライヴ音源
 The Boarding House, San Francisco, CA or Catalyst Club, Santa Cruz, CA,1977
 バンド不明(ネヴィル・ブラザーズのメンバーが入っていた可能性あり)
8: フェスの演奏ではない
音がかなり悪いので聴き取りにくいものの、ピアノは入っていないようで、ヴォーカルもフェスとは思えません。曲はB.B.キングのもので、僕が知る限りフェスのレパートリーにはありません。フェス登場前にバックバンドがプレイしたものが紛れ込んだか?
10、17: 未発表音源?
今回、チェックした限りでは、これまで発表されたレコード、CDには、同じ音源は確認できませんでした。どちらもフェスの演奏であることには間違いなく、これらの曲の演奏は他にも残っているのですが、明らかに演奏が違います。17は、まるでゲイトマウス・ブラウンのようなフィドルがフィーチャーされており、これが一体誰で、一体なんのライヴなのか非常に気になるところです。ゲイトマウスはフェスのアルバム「Rock 'n' Roll Gumbo」で客演して、この曲もやってはいますが、フェスと親交があった訳ではなさそう。実際ライヴで共演したことがあるのかは不明です。しかし、フレージングが非常に似ています。

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尚、3(Goin' To The Mardi Gras)の曲名は間違いで、実際は"Rum And Coke"や"Crawfish Fiesta"として知られるインスト・ナンバー。この音源が収録されている「The London Concert」では"Rockin' With Fess"という曲名で収録されています。

10は、"Meet Me Tomorrow Night"で、「Rock 'n' Roll Gumbo」に収録された曲と同曲です。

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という訳で、少なくとも出自が判らない3曲を除き、これらのレコーディングの大半がサンスー・レーベル音源ではないことが判りましたので、看板は虚偽であったと言うことになります。

では、何故これらの音源がサンスー・セッションズとしてリリースされてしまったのかについて考えてみたいと思います。このCDの記載事項を見ると、音源のライセンス元は「GCM」と書かれています。これは、Gulf Coast Musicのことと思われます。サンスー音源の権利を保有していたマーシャル・シホーンが1996年に破産し、その破産管財人として連邦裁判所によって設立された団体です。その実体は知りませんが、今日もサンスー音源は、基本的にGCMが権利を有する形となっている模様です。

シホーンの保有していたマスターテープ類は、リスト化されGCMの管理下に置かれたものと思われます。その多くは彼が権利を持っていた音源でしょうが、そうでないプライベートなテープが紛れ込んでいたとしても不思議ではありません。このライヴ集はそういう音源ではないかと思うのです。

そのリストがフュエル2000の目に触れ、リリースされることになったのではないでしょうか?サンスー音源のリスト記載のものならば、"Sansu Sessions"と銘打つのも頷けます。しかし、フュエル2000が取り寄せてみると、何も詳細が判らない。そこで、出来合いのフェスのバイオをライナーとして付けて体裁を整えた、そんなところではないでしょうか?「出来合い」と推測した理由は、このライナーが結構長い文章ながらCDについて全く触れていないからです。執筆しているビル・ダール氏は、ブルース系のライターとしては名の知れた人です。書き下ろしであれば、推測レベルでも、少しはこのCDについて触れていたのではと思うのです。

また、前述の既発CD(あるいはそのマスター)からコピーしたのでないのはまず確実です。それは、音質が今回のフュエル2000盤の方がよかったり、曲の前後の歓声の部分がフュエル2000盤の方が長く取られていたりするものもあるので、恐らく別ルートでシホーンが独自に入手したテープからの起こしなのではないかと想像しています。

参考までにこれらの音源の権利を有していると思われる権利者は以下の通りです。その後変わっている可能性もありますが。
・「New Orleans Jazz & Heritage Festival 1976」Island Records (or Red Dog Express, Inc.)
・「The London Concert」 JSP Records
・「Live On The Queen Mary」Capitol Records
・「The Big Easy」Home Cooking Records

このCDを買おうか迷っておられる人は参考にしてみてください。寄せ集め音源のCDなので、演奏や音質にはばらつきはありますが、それなりに楽しめる内容だと思います。

PROFESSOR LONGHAIR
Let's Go To New Orleans - The Sansu Sessions-
(Fuel 2000 0302 062 001 8)
Released in Aug, 2014
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2014/9/19

ジャージー・ボーイズ  音楽全般

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9月27日封切り予定の映画「ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)」の試写会に行ってきました。

今年(2014年)1月に初来日を果たしたフランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの実話に基づくストーリーで、大ヒットした同名のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したものです。そういえば、フランキー・ヴァリの来日公演は元々昨年の9月に予定されていたのが、伝記映画の撮影に立ち会うという理由で急遽延期されたのでした。その成果が届いたということですね。監督はなんとクリント・イーストウッドが務めています。音楽に造詣が深い監督ということで、プロデューサーのグレアム・キングが彼に打診をしたところ、二つ返事でOKをもらったのだとか。

ちなみにブロードウェイ・ミュージカル版は2005年に公演が始まりこれまでに公演回数は3,000回を超え、現在も続くロングランとなっています。

僕は、来日公演も行かなかったし、あまりフォー・シーズンズには思い入れがないんですが、これはそんな僕にも非常に面白い映画でした。貧しい労働者階級の住むニュージャージーの町に育った彼らは、成功を手にする日を夢見ながらバンド活動を続けて行く訳ですが、犯罪行為に手を染め、ムショを出たり入ったり。そして、大きな成功を掴んだあとも、成功した故のメンバー同士の対立、ツアーで家を空けることが多くなったことによって吹き始めたヴァリの家庭内のすきま風。それに続いて彼を襲う悲劇。まるでジェットコースターに乗っている様な波瀾万丈なドラマが展開されます。134分と長めの映画ですが、音楽に乗せていいテンポでストーリーが展開して行くので、のめり込んで見てしまい、あっという間に時間が過ぎました。

オリジナル・フォー・シーズンズの4人のうち3人は、ブロードウェイ・ミュージカルでも活躍したキャストが起用されています。歌も彼らが吹き替えなしで歌っています。さすが舞台を経験した役者だけあって、歌声もばっちり。ルックスはあまり似ているとは思えませんが、歌唱力と演技力を見ればはまり役だと思いました。特にフランキー・ヴァリ役のジョン・ロイド・ヤングはブロードウェイでは実績があるものの、映画の出演はこれが初めて。それがいきなり主役ですからね。イーストウッド監督は、役者を選ぶ際、大スターを並べるよりは新鮮な顔ぶれを念頭に置いたのだそうです。

この映画がひとつ特徴的なのは、フォー・シーズンズの4人が、ところどころでまるでドキュメンタリー番組の司会進行役の様にスクリーンのお客さんに向かって、状況の説明を始めるところです。「ここで、僕らは〜という状況に置かれたんだ」というように、突如演技を中断して、語り出すんです。生の観客を目の前にしたミュージカルがベースとなっているからこその演出なんでしょうね。ある意味面白くて新鮮でした。

退屈せずに見ることができたのは、やはり何と言っても音楽が素晴らしいのが大きいと思います。そして、その背景にあるドラマが実話であるからこそリアリティを持って訴えかけるのでしょう。

映画にはオリジナル・フォー・シーズンズの2人(フランキー・ヴァリとボブ・ゴーディオ)が製作総指揮でスタッフに加わっています。それだけ史実に拘ったということなのでしょう。昨年の来日延期についても、ヴァリはイーストウッド監督より直々に「史実について正確を期すため、是非とも撮影に立ち会って欲しい」と言われたんだそうです。

オリジナル・メンバー4人のうちベースのニック・マッシは2000年に亡くなっていますが、残りの3名は存命です。ギターのトミー・デヴィートが映画の製作陣に加わらなかったのは、映画を見ればまあそうだろうなと思わせました。映画の中では相当な問題多き男に描かれています。彼はこの映画を見たのでしょうか。少し気になってしまいました。

この映画がどの程度史実に忠実かを検証したページがありました。これによると、細かい脚色や省略などはあるものの、おおかた事実に即して描かれているようです。

How Accurate Is Jersey Boys? (By Dee Lockett)
http://www.slate.com/blogs/browbeat/2014/06/20/jersey_boys_accuracy_fact_checking_clint_eastwood_s_four_seasons_biopic.html

奇しくも映画公開直前の9月11日、フォーシズンズの成功の立役者のボブ・クルーが83歳で亡くなりましたが、映画の中では当然彼の役割は大きく、それも要注目です。

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/

トレーラー映像
https://www.youtube.com/watch?&v=toarcsqfrl4

オリジナル・サウンドトラックCD
http://shop.wmg.jp/items/WPCR-15887

ジャージー・ボーイズ
原題:Jersey Boys
2014年 アメリカ映画
上映時間:134分
配給:ワーナーブラザーズ映画
監督/制作:クリント・イーストウッド
制作:グレアム・キング、ロバート・ロレンツ
脚本/ミュージカル版台本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス
キャスト:
ジョン・ロイド・ヤング(フランキー・ヴァリ役)
エリック・バーゲン(ボブ・ゴーディオ役)
ビンセント・ピアッツァ(トミー・デヴィート役)
マイケル・ロメンダ(ニック・マッシ役)
クリストファー・ウォーケン(マフィアのボス、ジップ・デカルロ役)
エリカ・ピッチー二(フランキー・ヴァリの恋人、ロレイン役)
マイク・ドイル(ボブ・クルー役)
レネー・マリーノ(フランキー・ヴァリの妻、メアリー・デルガド役)
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