2018/8/22

R&Bの真髄を見せつけたカーラ・トーマス来日公演レポート  R&B/ソウル

カーラ・トーマスの来日公演。来日が発表された際には本当?とびっくりしたファンも多かったんではないでしょうか。それもそのはず。1980年代に父親のルーファス・トーマスに同行する形での来日はあったものの、デビュー後50年以上経った今までカーラ自身名義での来日はなかったし、1970年代にスタックス・レーベルがなくなって以降作品も出ていないのです。近年は、活動が伝わって来ることすら少なかったのですから、想定外の来日と言ってもいいと思います。

フジロックフェスティバルへの出演がまず発表され、その後の東京、大阪公演のビルボードライブでの公演も決まりました。しかも、彼女をサポートするのはメンフィス最強のホッジズ兄弟(ハイ・リズム・セクション)とスティーヴ・ポッツ(ds.)。更には妹のヴァニースまで同行するという豪華な布陣。

カーラはあまり体調が良くないのでは?などと心配する声もあったし、長いブランクを経て今何をやるんだろう?と首を傾げる人もいたでしょう。

東京2日間の最後の公演を見に行きました。この来日公演、蓋を開けてみたら、期待を上回る素晴らしさでした。まずカーラが元気だったし、ヴァニースとの仲良しぶりも微笑ましくて暖かい雰囲気に包まれていました。

あと、本当にバンドは鉄壁でしたね。ホッジズ兄弟も良かったんですが、特にギタリストのスコット・シャラードのプレイは特筆に価します。ブルース系のソロもソウルナンバーでリズムギターも実にツボを得たプレイを聴かせてくれました。彼はグレッグ・オールマンのバンドでの活躍で知られる人ですが、グレッグが彼を評価していたのも頷ける、そんなプレイでしたよ。

バンドだけで一曲やったあと、まずヴァニースが登場。彼女は近年のソロ作からの3曲を披露しました。彼女自身「色々やって最終的にブルースに落ち着いた」と語っていたように、ブルース・フィーリング溢れるステージでした。「メンフィスは音楽に溢れて、いたるところでパーティーをやっている楽しい街よ」と語り歌ったシャッフル”Saturday Night on the River”はそんな街の盛り上がりが感じられるような楽しい曲でした。

そして、カーラ登場。公演の宣伝に使われていた写真はいつのもの?とびっくりしてしまうほど容姿は変わっていましたが、歌声には張りはあるし、終始笑顔で上機嫌。この公演を彼女自身が楽しんいるのが見ていて伝わって来ました。

外見は変わったとは言え、よくよく見ると、やはり若い頃の面影はしっかりあり、しかもどことなく父親ルーファスにも似ていました。彼女のステージはかつてオーティス・レディングとやった”Lovey Dovey”からスタート。カーラの歌声もバンドも躍動感に溢れ、もう最高。声質も若い頃の可憐な感じではなかったものの、今のカーラが自然に出ていて、これでいいんだと思いました。

続いて南部の雰囲気ムンムンで熱唱したのは1964年のシングル”No Time To Lose”。歌ったあとには、この曲を書いたディーニー・パーカーについて語る一幕も。「彼女は元々アーティストとしてスタックスに来たけど、あまり日が当たることがなく、最終的にスタックスの広告担当になった。しかし、彼女はこの素晴らしい曲を書いたんです」とその功績を称えました。

「日本のファンはブルースが好きだよね?ブルースをやるね。」と言ってやったのは”Little Red Rooster”。後半は”Blues Is All Right”の一節も出て客席も一緒になって歌いました。カーラはブルースよりはR&Bのイメージが強いですが、ブルースの歌いっぷりもあっぱれでした。

そして、お待ちかねの代表曲”B-A-B-Y”で盛り上がりは最高潮に。もう50年以上前のヒット曲ですが、これぞメンフィス・ソウルといった感じで、やはりいいですわ。

でもまだ終わりません。続いてはヴァニースがステージに戻り、姉妹の共演タイムに。ヴァニースの持ち歌”Wrong Turn”をやったあとに、父親ルーファスへのトリビュート・タイムと題してまずは”Night Time Is The Right Time”を。カーラがルーファスとスタックスに吹き込んだレイ・チャールズで有名なあの名曲です。そして、ラストはルーファスの看板曲、”Walking The Dog”で賑々しくしめました。カーラもヴァニースも父親への尊敬が半端ないことがよーくわかりました。偉大な存在だったのは揺るぎない事実とは言え、実の父親をここまで躊躇なく持ち上げることができるのは、ある意味羨ましいなとさえ思いました。客席からルーファスの写真を贈られると二人はそれを眺めて本当に嬉しそうにしていたのが印象的でした。

東京では2晩4公演があり、ファンはどれを見に行くかはばらけただろうと思いますが、それでも当たりを見回すと、知り合いの熱心なファンがわんさかいる、そんな状態でした。皆、楽しみにしていたんですね。公演、そんなお客さんの満足げな笑顔があちこちで見られました。僕もその一人です。

カーラは1942年生まれ、今年誕生日を迎えれば76歳になります。これは先日亡くなったアレサ・フランクリンと同い年なんですよね。もう若くはないですが、今後も元気に活動してほしい、そう思いました。できれば久々の新作も、ね?

ヴァニースは、カーラの10歳下とは言え、実に若々しく現役感をバリバリ示していました。彼女もまた見たいなと思いましたよ。また来てね!

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Carla Thomas & "The Memphis All Star Review”
featuring The Hodges Brothers (Hi Rhythm Section)
and Vaneese Thomas
Tue., July 31, 2018 (2nd set, 21:31-22:46)

Setlist
1. Instrumental
—Vaneese Thomas—
2. Mystified
3. Corner of Heartache and Pain
4. Saturday Night on the River
—Carla Thomas—
5. Lovey Dovey
6. I’ve Got No Time To Lose
7. I Like What You’re Doing (To Me)
8. Little Red Rooster〜The Blues Is Alright
9. B-A-B-Y
—Carla & Vaneese Thomas—
10. Wrong Turn
11. Night Time Is the Right Time
12. Walking the Dog

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[Personnel]
カーラ・トーマス / Carla Thomas(Vocals)
バニーズ・トーマス / Vaneese Thomas(Vocals)
チャールズ・ホッジズ / Charles Hodges(Hammond B-3 Organ, Keyboards)
リロイ・ホッジズ / Leroy Hodges(Bass)
ベルネタ・マイルズ / Berneta Miles(Background Vocals)
アージー・ファイン・マーティン / Argie Phine Martin(Background Vocals)
ルイス・バジェ / Luis Valle(Trumpet)
アンディー・ウルフ / Andy Wulf(Saxophone)
スコット・シャラルド / Scott Sharrard(Guitar)
スティーブ・ポッツ / Steve Potts(Drums)

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【来日公演日程】
2018年7月28日(土)フジロックフェスティバル
2018年7月30日(月)ビルボードライブ東京
2018年7月31日(火)ビルボードライブ東京
2018年8月2日(木)ビルボードライブ大阪

【公演レポート(写真付き)】
ライター林剛さんによる東京公演初日のレポートです。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw3716834
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