2010/7/30
ドニー・フリッツのライブ盤、聴いたぞ! R&B/ソウル
昨年秋のドニー・フリッツの来日公演を収録したCD+DVD、当初2月の発売が予定されていたものの延び延びになっていましたが、やっと7/28に発売になりました。僕も昨日早速入手。
まだDVDは見てませんが、CDの方を聴きました。ライブの記憶が蘇ってきます。ドニー本人の味わいもさることながら、やはりバンドが最高です。物静かながら存在感のあるデイヴィッド・フッドはやはり知名度から一番人気でしたが、僕はリード・ギターのケルヴィン・ホリーのプレイがツボに入りました。ブルージーで実にいい音してるんです。どのメンバーもテクニックをひけらかす感じでは全くないのですが、うまいんだよなぁ。ベテランの味ですね。こんな濃いライブが日本で行われたことは素晴らしいと改めて思いました。ドニー・フリッツという決して商業的に成功したとは言えない、アメリカ南部の田舎のおっちゃんを見にあれだけ沢山の熱心なファンが集まったこと自体感動に値します。
ライブ盤として出してくれたことに感謝したいです。どれくらい売れるものかは判りませんが、こうやって記録として残れば、1回限りの伝説ではなく、作品として聴き継がれていくでしょうし、それを聴いて、見て、新たなファンも出てくるでしょうから。ひとつ残念なのは、DVDがリージョン2に設定されていること。せっかく作ったのだから、海外の人にも見てもらいたいですよね。米盤が出るのならばまだしも、映画じゃないんだからリージョンフリーにすべきでした。もったいないです。
CDの方は大阪公演。僕は東京しか行っていないので確かなことは言えませんが、東京のセットリストと照らし合わせる限り、ドニーが歌った曲は全て収録しているようです。普通アルバムとなると、レコーディングされた中からベストを厳選するのものですが、これを聴けば捨て曲はないことが判ります。いや、実際ドニー登場前のデコイズの演奏も素晴らしかったので捨てがたいのですが、主役はあくまでもドニーですからね。収録されなかったのは仕方ないでしょう。クニオキシダがゲストで登場するなど見せ場はありましたが、別の機会でのリリースはあるでしょうか?
フリッツは1曲1曲、その曲にまつわるエピソードなどを語りつつライブを進めて行きましたが、その多くは入ってません。作品としての流れを考えれば妥当でしょう。ただ、"We Had It All"について、「レイ・チャールズが取り上げてくれたことが自分のキャリアで最高のことだった」と語っている部分などはちゃんと収録されています。このときのフリッツはプロのミュージシャンというよりは、純粋にレイの音楽を愛するファンの表情でした。本当に嬉しかったんだなぁ。CDを聴いてもその思いは充分伝わります。
DVDは東京公演。"Why Is My Days So Long"1曲だけカットされているのは謎なんですが、技術的な問題でもあったんでしょうか?殆ど完全収録なので、文句はないですが。こちらもじっくり堪能したいと思います。
パッケージも丁寧な作りで嬉しくなります。また、主催者トムズキャビンの浅田浩、ライターの小尾隆両氏のライナーも公演実現までの経緯や、収録されなかったデコイズの演奏も含めたライブの様子が記されており、一読の価値ありです。特に浅田氏とドニーにとっては35年越しの夢の実現となったわけですから、感慨はひとしおでしょう。おめでとう、そしてありがとう!生意気ながらそう言わせてもらいます。
「AN EVENING WITH DONNIE FRITTS AND THE DECOYS」(Muskrat/Vivid Sound RATCD4292)
2010年7月28日発売、5,800円
http://www.vividsound.co.jp/item_show.php?lid=4540399042923
バンドメンバー
Donnie Fritts: lead vocals, electric piano
Scott Boyer: rhythm guitar, vocals
David Hood: bass
Kelvin Holly: lead guitar, vocals
N.C. Thurman: keyboards, vocals
Mike Dillon: drums, vocals
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