2017/4/24

熱いソウルでした、スペンサー&パーシー・ウィギンズ  R&B/ソウル

1960年代にゴールドワックス・レーベルから名作シングルをリリースした伝説的なサザンソウル・シンガー、スペンサー・ウィギンズ。彼のライヴを見られる日が来るとは、かつては考えられなかったでしょう。しかし、50年もの歳月を経て、遂に彼が初めて日本にやってきました。しかも弟のパーシーまで一緒に。

二人とも70年代以降、歌手活動から長らく身を引いていたことを考えれば、まさに奇跡の来日です。

会場となったビルボードライブ東京は、開演前から多くの熱心なファンでごった返し、熱気ムンムン。やはりみんなこの日を相当楽しみに待っていたんですね。

ステージは、まずはパーシー・ウィギンズが登場。今回のバンドにはハイ・レーベルで活躍したリロイ(ベース)とチャールズ(オルガン)のホッジズ兄弟も参加。彼らへの敬意を表するということなのか、かつてのハイの看板スター、アル・グリーンの"Love And Happiness"からスタートしました。リロイのファンキーなグルーヴに心地よく鳴り響くチャールズのオルガン。彼らの好サポートで会場は早速ソウルフルな雰囲気に包まれました。

パーシーはグレーのスーツでビシッと決め、60年代のアトコやRCA、アベットのシングルからのナンバーを中心に披露しました。軽快な"Can't Find Nobody"では、動きもキビキビしていて歌もノリノリです。ホーン・セクションもいい感じ。一方、バラード"Book of Memories"では、優しくも熱い歌声を十二分に聴かせてくれました。若い頃と遜色ないいい声です。

パーシーが冒頭30分あまりを歌ったあと、いよいよMCの紹介で兄のスペンサー登場。しかし、2009年時点の映像より、正直言ってだいぶ老け込んだ印象でした。抱えられるようにしてステージに上がった彼は、ゆっくりと歩き中央へ。

パーシーもそのまま残り、二人でデュエットしたのは、2013年にボーキーズとレコーディングした名曲"The Dark End of The Street"。見た目は年を取っても、スペンサーは歌い出すと、低く深みのある歌声に思わずため息がでました。

軽くまろやかな歌声のパーシーとは対照的で、このハーモニーは絶妙でした。いきなり涙腺にきてしまいました。いやぁ、この1曲だけでも来た甲斐があった!

スペンサーは、あまり動きもなく、表情もあまり変えずに歌っている感じではありましたが、歌はさすがの貫禄を感じましたね。若い頃と同じというわけにはいかないですが、まだまだ魅力は失われていません。逆に年を重ねた彼の姿を目の当たりにし、歳月の重みを感じ、ぐっと来てしまいました。

"Uptight Good Woman"では、終わると見せかけてまだまだ歌うというパフォーマンスをしつこいくらい続け、気力十分なところを見せてくれました。なんといっても、彼は登場してから1時間あまり、全く座ることもなく、歌い続けたのですから、ぱっと見以上に元気と言えるのではないでしょうか。

曲によってはキーをオリジナルよりも下げて歌っているものもあり、高い声はもう出ないのかと思いきや、結構裏声のファルセットもしっかりやっていました。スペンサーが登場してからもパーシーはところどころコーラスを中心に参加。アンコールでは、サム・クックの名曲"Bring It On Home To Me"を再度がっぷり二人でデュエットし、フィナーレとなりました。

終わった時点でもう11時を回っていましたが、それからサイン会スタート。参加したいのはやまやまでしたが、長蛇の列ができていて、絶対終電を逃しそうなので、諦めて帰路につきました。でも後になってもじわーっと感動がこみ上げてくるいいライブでした。ビルボードライブの公演としては長めの90分超えでボリュームも十分でしたし。

本当によく来てくれたなと思います。

なお、ゲストで出演予定だったイーライ・ペーパーボーイ・リードは、公演数日前のドタキャン。理由はわかりませんが、終わってみれば彼には悪いけど、彼がいなかったおかげでウィギンズ兄弟をじっくり聴けたのかも。彼はまた別の機会に見ることができるでしょう。

以下セットリストです。2日間で計4回の公演。僕は一回しか見ておりませんが、人に聞いたところでは、若干曲目を入れ替えていたようです。



Spencer Wiggins featuring Percy Wiggins, The Hodges Brothers (Hi Rhythm Section)
Tuesday, April 18, 2017, 2nd set (21:30)
Billboard Live Tokyo

Percy Wiggins [21:30-22:06]
1. Love And Happiness [Al Green cover]
2. Can't Find Nobody (To Take Your Place) [Atco single]
3. Look What I've Done (To My Baby) [Abet single]
4. It Didn't Take Much (For Me To Fall In Love) [RCA Victor single]
5. Book Of Memories [Atco single]
6. I've Never Found A Girl [Eddie Floyd cover]

Spencer Wiggins [22:06-23:06]
7. The Dark End Of The Street [with Percy-The Bo-Keys single]
8. Lonely Man [with Percy-Goldwax sigle]
9. Uptight Good Woman [Goldwax single]
10. What Do You Think About My Baby [Bandstand USA single]
11. Old Friend (You Ask Me If I Miss Her) [Goldwax single]
12. He's Too Old [with Percy-Goldwax sigle]
13. The Kind Of Woman That's Got No Heart [Goldwax single]
14. I'm At The Breaking Point [with Percy-Fame single]
15. Double Lovin' [with Percy-Fame single]
-encore- [22:55-23:06]
16. Bring It On Home To Me [with Percy-Sam Cooke cover]

Spencer Wiggins - vocals
Percy Wiggins - vocals
Charles Hodges - hammond b-3 organ, keyboards
Leroy Hodges - bass
Derrick Martin - drums
Patriq Moody - trumpet
Michael Roberts - tenor saxophone
Peter Montgomery - guitar
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