2013/5/9

ジェイムズ・コットン3年ぶりの新譜  ブルース

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JAMES COTTON / COTTON MOUTH MAN
日本盤 Pヴァイン PCD-93714(2013/5/15発売)
米盤 Alligator ALCD4954(2013/5/7発売)

ジェイムズ・コットンの3年ぶりの新譜「Cotton Mouth Man」。7月の誕生日で78歳になるコットンですが、歳を感じさせないごきげんなアルバムを作ってくれました。いや、歳を重ねた今でこそのサウンドというべきでしょうか。もう声は殆ど出ないし、若い頃のような勢いこそないものの、決して枯れてはいません。ハープはいきいきとしているし、なによりもフレージングといい音色といい、100%コットン印です。

ゲスト陣は、コットンの代わりに歌える人という観点で選ばれているようで、楽器のみで参加したゲストは冒頭のタイトル曲に入っているジョー・ボナマッサのみ。グレッグ・オールマン("Midnight Train")、ルーシー・フォスター("Warpped Around My Heart")も楽器は弾いてません。ちょっともったいない気もしますが、主役をしっかり立てたサポートという意味では正解でしょう。

"Midnight Train"では、コットンはイントロで、ハープで汽車の音を表現するブルースでは古典的なネタを披露。コットン自ら「Midnight Train to Mississippi!」とかけ声をかけ、まるで勢いよく汽車が走り出して行く様な躍動感に溢れています。

ダリル・ニューリッシュが歌う"He Was There"は、曲調は"Hoochie Coochie Man"を彷彿させますが、1950年代に南部の畑仕事を捨てて、ブルース華やぐシカゴにやって来たコットンの体験を歌にしたもの。ダリルが「作り話ではないぜ。彼はその場にいたんだ」と歴史の生き証人であるコットンをたたえます。それに応えるようにダリルの歌に絡み付いて来るコットンのプレイが痛快なのです。

彼のハープは、ときにヴォーカルとバトルをするかのように絡みつき、またときには、ヴォーカルのメロディーラインをなぞるようなプレイも聴かせます。ハープに専念しているからこそできるプレイなんですよね。ここには、歌えないことに対するマイナス面は感じられません。逆境をプラス思考で乗り越えて活動を続けて来たコットンらしい前向きなプレイに溢れています。

そして驚いたのはラスト"Bonnie Blue"。故郷の南部の地を歌ったデルタ・ブルース調の渋いナンバーですが、なんとコットン本人が歌っているのです。レコードで彼が歌うのは一体何年ぶりなのでしょうか。声は殆ど出ていないので歌というよりは、囁きに近いですが、力強い囁きです(笑)。聞き苦しいのは否めないですが、これも彼の人生を象徴する曲だと感じました。

"Wasn't My Time to Go"では、「私がブロウできる限り、まだあの世に行くときではないよ」と歌います。実際歌っているのはケブ・モですが、ケブは一人称でコットンの声を代弁しているんですね。

80を超えても元気で頑張って欲しい、そう感じさせる好盤です。まだまだブロウできます。

1. Cotton Mouth Man (feat. Joe Bonamassa) 3:47
2. Midnight Train (feat. Gregg Allman) 3:27
3. Mississippi Mud (feat. Keb Mo) 4:00
4. He Was There 3:44
5. Something For Me (feat. Warren Haynes) 3:41
6. Wrapped Around My Heart (feat. Ruthie Foster) 3:22
7. Saint On Sunday 3:31
8. Hard Sometimes (feat. Delbert McClinton) 3:16
9. Young Bold Women 3:25
10. Bird Nest On The Ground 4:18
11. Wasn't My Time To Go (feat. Keb Mo) 4:17
12. Blues Is Good For You 4:24
13. Bonnie Blue 3:33

Produced by Tom Hambridge
Recorded at Sound Stage Studio, Nashville, TN

【2013年3月来日公演レポート】
78歳、まだまだ元気!ジェイムズ・コットン@コットンクラブ
http://black.ap.teacup.com/sumori/1369.html
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