2016/8/5

クリス・ファーロウ ・インタビュー&ライブ・レポート(2)  ロック

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引き続きマイク越谷さんのクリス・ファーロウの記事でお楽しみください。インタビューです。
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【伝説の英国ブルー・アイド・ソウル・シンガー
  クリス・ファーロウ 特別インタビュー
     Interview and text by Mike Koshitani】


(続き)
そんなクリスにじっくりインタビューした。

◇音楽との出会い
僕は第二次世界大戦中の生まれ。母親がピアニスト、当時兵士たちのためにバーやパブで演奏していたんだ。ドリス・デイとかフランク・シナトラ。小さかった僕は母にくっついて行ってよく歌っていた。母がドリス・デイを教えてくれて、そう、最初に聞いた音楽はドリス・デイ。彼女の歌は大好きだ。

◇10代の頃イギリスはスキッフルの大ブーム
アマチュアのスキッフル・グループを作った。僕の名前(注:当時はまだ本名を名乗っていた)がジョン・ヘンリー・デイトンだから、自分の名前をとってジョン・ヘンリー・スキッフル・グループって名付けた。13歳くらいだった。しばらくして英国でスキッフル・グループのコンテストが開催された。200組くらい出場して「Diggin’ My Potatoes」を演奏した僕たちがナンバー・ワンを獲得。それが始まり。だんだんとプロっぽい活動をするようになった。

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◇プロとして始動
僕の名前じゃちょっとださいし、プロらしくグループ名をいろいろ考えた。お気に入りの車がサンダーバードだったから、サンダーバーズ!ついでに僕の芸名も考えたんだ。タル・ファーロウっていう名前のジャズ・ギタリストのアルバムを持っていて、その“ファーロウ”っていう名前がすっごく気に入った。そこから拝借してクリス・ファーロウと名乗るようになった。ファーロウって、ほんとクールだろう。

◇音楽遍歴
学校に通っていたころ、母がくれたお小遣いを持って “スター・レコーズ”っていうショップへよく行っていた。店員に「変わった音楽が好きみたいだけど、何をやりたいの?」と聞かれて、僕はシンガーになりたいんだって言ったら、サラ・ヴォーンを薦めてくれた。

その場でイヤホンで聴いてみたら、気に入った。ほかにもエラ・フィッツジェラルド、アニタ・オデイなどを教えてくれた。それがきっかけで女性ジャズ・シンガーに夢中に…。彼女たちをコピーして、スキャットも学んだ。アルバムでやっていたことをいろいろまねた。これが僕のシンガーとしてのスタート。ブルージーなものだね。

しばらくして、映画「暴力教室(Blackboard Jungle)」公開(注:1955年)、主題歌「Rock Around The Clock」(注:ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ)に大衝撃を受けた。これがきっかけでロックンロールに目覚めた。そのころ、ロンドンには米国空軍基地があって、当時のマネージャーが、基地で演奏しないかって言ってきた。行ってみると、基地の売店があって、そこではたくさんのレコードが通常価格よりかなり安く売られていた。ここでリズム&ブルースも覚えた。ミック・ジャガーと同じような体験だ。

当時買ったレコード、今でもたくさん持っているよ。後になってわかったことだけど、アルバート・リーもビル・ワイマンも1950年代後半のイギリスの音楽好きはアメリカ音楽を必死で聴いていたんだ。

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日本盤のシングルにサインをするクリス

◇アルバート・リーとの出会い
彼と出会ったのは1960年代初頭だった。 当時、僕はバンドのギタリストを探していた。あるミュージシャンがアルバートに「クリス・ファーロウがギタリストを探してる」って教えたらしい。僕は音楽誌に求人広告を出していた。たくさんのギタリストたちに会った。アルバートはその中のひとりだったんだよ。アルバートの番になって、彼がブルースを弾き始めてすぐに「お、こいつはいけるぞ」と感じた。それで彼が僕のバンドに参加することになったんだ。

◇フラミンゴ・クラブ
僕らのホームグランド、60年代前半はよく演奏した。(注:1950年代から60年代にかけて、ロンドンのソーホー地区にあったクラブである。)そこではいろんなミュージシャンと出会った。ジョージィ・フェイム、ジョン・メイオール、ストーンズのブライアン・ジョーンズもそうだね。ロッド・スチュワート、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ウィンウッド、ブライアン・オーガー、ジョー・コッカー…。観客はほとんどがミュージシャンだった。ミック・ジャガー、チャーリー・ワッツ、エリック・バードンが我々の演奏を観てるんだ。

一番の注目はサンダーバーズのギター、アルバートだったんだ。リズム&ブルースのカバー、「Money」はよく演奏した。レイ・チャールズの楽曲やロカビリーのジョニー・バーネットのナンバー。陰に隠れている名作をやることに生きがいを感じていた。ストーンズもデビュー当時はそうした動きを見せていたのはよく知られているよ。

◇デビュー・シングル「Air Travel」
1962年の作品。当時まだ若くて両親と住んでいたんだけど、ある日デッカというレコード会社の人が訪ねてきた。母親が対応してくれ、僕のレコードを出したいとのことだった。このナンバーをシングル・リリース、すごくいい曲だった。すぐ売れたってわけではなかったけど、ラジオで度々かかったから「クリス・フォーロウ」の名は知られるようになった。僕のキャリアのはじまりだ。

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Chris Farlowe - Air Travel
(Decca 11536) 45rpm single
from Mike's collection

◇「Blue Beat」by The Beazers
1964年にデッカからリリースされたシングル。デッカとの契約があったからほかの人と演ることはできなかった。クリス・ファーロウ名義もNG。スタッフのアイデアで「Beazers」でやることになった。今やこの曲はノーザン・ソウルのアンセムになっていて、現在でも多くの人々に愛されている。とっても良い曲。そしてレアなレコードだ。

◇「Stormy Monday Blues」by Little Joe Cook
これも別名義。ある日スタジオにアルバートと入って何かやろうぜってことで「Stormy Monday Blues」を演奏した。半年後にレコード・ショップ、地元のスター・レコードに行ったら僕が歌った「Stormy Monday Blues」が店内に流れていた。あ、ぼくの曲だ!って店員に言ったら「これはリトル・ジョー・クックのニュー・シングルですよ」だって。契約上僕の名前が使えないから、これも名前を作り上げちゃったんだ。

◇1965年、アンドリュー・ルーグ・オールダム設立のイミディエイトと契約
「The Fool」は米国のシンガーのサンフォード・クラークのロカビリー。友達のエリック・バードンがプロデュースすることになって、僕に歌ってくれということになったんだ。アンドリュー・オールダムには、彼がまだ名前を知られる前、フラミンゴ・クラブでシェフとしてハンバーガーを作っていたころに会った。彼はのちにストーンズのマネージャーになるわけだけど、一方で彼は僕たちのマネージャーにもなったんだ。だから僕はイミディエイト・レコードに移ったんだよ。

◇ローリング・ストーンズ
イミディエイトに移ってストーンズ・ナンバーをよく取り上げたけど、これはミックのアイディア。カバーというよりも、全部ストーンズが僕のために書いてくれたんだ。あとで彼らが僕の歌った歌をレコーディングしていたけど。ミックが僕のために書いてくれた。ありがたいことだよ。当時のミュージシャンやシンガーたちはみんな僕の歌が好きだった。

ストーンズのメンバーはみんなファンタスティックな奴ばかり。ずっと良い友達だ。一番仲がいいのはキース・リチャーズ、大好きだよ。ロニー・ウッドもね。ブライアン・ジョーンズも良い奴だった。好きだったよ。今でもストーンズが近くでライヴをやるときとか、僕がアメリカに行っているときに彼らがコンサートをやっていたら、連絡して、会いに行くよ。イアン・スチュワートもナイスガイ。大好きだ。早くに亡くなってしまったけど。イアンは良い奴だった。

◇イミディエイト倒産
「Think」を出したのはよかった。だけど、残念ながらイミディエイトは倒産してしまった。僕は1ペニーも払ってもらえなかった。「Think」はミリオン・セラーだったのに。その後、アンドリューについては良くない評判をよく目にした。一緒にやっていたトニー・コルダーについてもね。後でアンドリューに会ったとき、支払いはどうなっているんだって言ったけど、どうにもならなかった。残念ながら、ハッピー・エンディングじゃなかった。

◇ジミー・ペイジ
ジミーとは長い付き合いだ。ジミーが少年のころからだよ。僕がアルバートと一緒にクラブで演奏していたころや、それ以前にボビー・テイラーとやっていたときも、当時15歳くらいだったジミーはいつもクラブに来て、ステージ横でバンド演奏を聞いていた。そのころからの付き合いで、彼のソロ・アルバム「アウトライダー」では何曲か歌った。今も良い友達だよ。去年電話してきて、いろいろ話した。来年は何か一緒にできると思う。
(Notes by Mike Koshitani)


写真提供/COTTON CLUB
撮影/的場理恵

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筆者(左)とクリス
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